庭に、長くそこに居てくれている大きな木があります。
わたしたち家族をずっと見守ってきてくれた、まるで家族の一員のような存在。
ある日、その幹にそっと耳を当ててみました。
「ゴォー……」という、深くて、静かな音が聞こえてきたのです。
風が吹くと、その音はさらに強くなって、
まるで木が呼吸しているかのようでした。
その瞬間、私ははっきりと感じました。
この木はただ立っているだけじゃない。
風と、水と、大地と響きあいながら、ちゃんと“生きて”いるんだって。
それからこの木のことを、私は「Ne Neの木(音根の木)」と呼ぶことにしました。
🌱 木の中の音って、いったい何?
耳を当てて聞こえてきたあの「ゴーッ」という音。
調べてみると、それは木の中を水が流れる音なんだそうです。
葉っぱから水分が蒸発していくと、その分だけ根っこから水が引っ張られて、
導管という細い管を通って、幹の中を上へ上へと流れていく。
その水の流れが、幹の中で響いて、私たちの耳に届いてくるんです。
しかも風が吹くと、葉の蒸散が一気に進んで、
水の流れがどんどん加速して、音も強くなる。
だから風が吹いたときに「ゴォーッ」と大きな音が聞こえたのは、
Ne Neの木の中で“水の道”が躍動していたからなんですね。
💫 小さな「パキッ」の音も、いのちの響き
よく耳を澄ますと、「パキッ」「ピチッ」というような
ちいさな破裂音みたいなのも聞こえてきました。
これは、水の流れが一瞬止まって空洞になり、
その気泡が破裂する音だといわれていて、キャビテーションという現象なんだそうです。
木が、いのちをつなぎながら、内側で起こしている
静かな“振動”なんだと思います。
🌳 木は、風に応えている
風が吹けば、木はしなり、揺れ、少しずつ形を変えて応えます。
そのとき、幹の中では「ギシッ」「ミシッ」という
まるで古い家が鳴るような音がすることもあります。
木は、じっとしているようで、
実はものすごく敏感に、世界とつながっているんですね。
🐛 小さないのちも、木の中で生きてる
ときどき「コツコツ」や「カリカリ」といった音が聞こえることもあります。
それは、木の中に暮らしている虫たちや微生物の動きかもしれません。
NeNeの木は、ただの大きな木じゃなくて、
たくさんのいのちが共に生きている“世界”なんだと思えるようになりました。
🌀 Ne Neの木が教えてくれること
風が吹き、水が流れ、虫たちが動く。
そのすべてがひとつになって、NeNeの木は“音”を奏でている。
それは、耳に聞こえるだけのただの音じゃなくて、
心にも、からだの水にも、きっと響いてくるもの。
耳を当てたとき、わたしの内側にある水が、”ぷるっ”と揺れました。
あなたの中の水も、わたしと一緒に揺れているよ~♪
そんなふうに、NeNeの木が語ってくれているようでした。
🌿 最後に
自然とつながるって、難しいことじゃないのかもしれません。
ただ耳を澄ますこと。
そこにあるいのちの声に、ちゃんと気づいてあげること。
Ne Neの木は、今もこれからも静かに立ちながら、
わたしたちの暮らしを“ととのえて”くれています。