皆さん、こんにちは!

かつて日本の木造住宅では、大工の棟梁が自らの目利きで木材を選んでいました。

そして建物の構造や用途に最適な柱材を選定していたのです。

この「目利き」は、建物全体の耐久性や安全性を支える大切な文化でした。  

しかし、現代では木材加工工場でプレカットされた材料を現場で組み立てる方式が一般化し、棟梁の目利きに頼らない建築が当たり前となっています。

効率性を重視する一方で、木材の「質」を見極める伝統的な知識が失われつつあります。

これは、見過ごせない課題です。

失われた「目利き」と見えないリスク

プレカット材は規格化され、均質な品質が保たれます。

しかし一方で木材の性質や適切な使い方を見極める目利きの文化が薄れている現状があります。

この現状が招くリスクの一例として、「逆さ柱」の恐ろしい話があります。

逆さ柱の恐怖

逆さ柱とは、本来上下の向きを守って設置されるべき柱が、誤って上下逆に取り付けられてしまうことを指します。

この逆さ柱が住宅に使われると、以下のような深刻な問題が発生する可能性があります。

※あくまでも可能性です。

1. 木材の強度低下

   木材は成長時に重力に逆らって水や養分を運んでいるため、繊維の向きが一定です。

そのため、木材の「根元」が下、「先端」が上になるように設置することで、圧縮力に最適な構造が保たれます。

しかし、逆さ柱では繊維の向きが力学的に不利となり、強度が大幅に低下します。

2. 経年劣化の促進

   木材は重力に対する耐久性が成り立っていますが、逆向きに力が加わると、ひび割れやねじれなどが発生しやすくなります。

これにより、建物全体の耐久性が損なわれ、早期に劣化が進むリスクがあります。

3. 地震や災害時のリスク

   特に地震の多い日本では、建物が揺れる際に柱が本来の強度を発揮できないことが、倒壊の原因となり得ます。

逆さ柱が一本でも混じっていると、建物全体の耐震性能が大きく損なわれる可能性があります。

逆さ柱を防ぐために必要なこと

1. 職人の目利きの復権

   プレカットされた柱でも、現場での目視確認を行い、上下の向きや品質を確かめる作業が必要です。

2. 木材加工工場での教育

   工場内で働くスタッフが木材の特性を理解し、正しい方向で加工・出荷するスキルを磨く必要があります。

もちろん、ちゃんと行なっている会社さんがほとんどです。 

構造計算に現れない要素を見極める重要性

柱の上下の向きや繊維の特性といった要素は、構造計算では明確に表されません。

逆さ柱の問題は、こうした計算では見えない「木材の性質」を無視していることに起因します。

これこそが、目利きの文化が失われた現代建築の大きな盲点です。

お客様へのメッセージ

住宅の柱や梁は、建物全体の安全性を支える「命綱」とも言える存在です。

その構造材の使い方一つで、建物が数十年後に安全でいられるかどうかが決まるといっても過言ではないでしょう。

柱の上下を見極める「目利き」の力は、今もなお欠かせない技術です。

それを取り戻す、絶対に失ってはならない。

これからの木造住宅に必要なことだと考えます。

私たちは、プレカットの利便性を活かしながらも、木材の質や特性を最大限に活かす設計と施工を心がけています。

「逆さ柱」のようなリスクを未然に防ぐため、木材一つ一つを丁寧に確認しながら、お客様の大切な家を作り上げていきます。

最後に

 一見しただけでは分からない柱の「上下」や「特性」が、建物の未来を大きく左右します。

技術進歩と目利きの融合が、安心で末永く愛される住まいとなる鍵となるのでしょう。

では次回も、住まいとエネルギーに関する興味深い話題をお届けしますのでお楽しみに!


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この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。それでは、次回の投稿でお会いしましょう!


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